ずいぶんとコラムが滞ってしまった。申し訳ございません。これだけ滞っているにもかかわらずT-columnを見捨てないでくださっているウッドハウスデザインの川端氏には、この場をお借りして感謝申し上げるとともに、深くお詫び申し上げたい。
コラムが滞った理由はただひとつで、それは「忙しかったから」ということに尽きる。
私は忙しかった。忙しい自分に酔っている人はよく見かけるが、もしかすると私もそうなっていたのかもしれない。また、忙しい自分が一番偉いと思っている「忙しい自慢人」が多数いることも私は知っているが、私もまわりの人に対して忙しい自慢をしていたのかもしれない。それくらい私は忙しかった。
そんな忙しい私に、コラムを書く余裕なんかあるものか。そもそも忙しいことを自慢する人のコラムなんか誰が読んでくれるだろうか。数日前までの私はこの世で一番忙しい男だと思っていたので、悪びれることなく、実に4か月ほどもの間、忙しさを盾にコラムを滞らせたのであった。そんな私に対し、ウッドハウスデザイン代表の川端氏は、いつも優しくコラムを催促してくれるのであった。
彼は「そろそろコラム頼むよ」「遅いよコラム」などと直接的な言い方で催促しない。話の流れの中でさりげなくコラムの催促を織り交ぜてくるのだ。
「最近どうも肩が凝ってしょうがないんだよ。肩がさ。仕事のしすぎかな。肩が凝ってさ。こう、腕を回すとさ、ほら、凝ってんだよ。肩が。あー凝った凝った。肩が凝ったよ。コラムった肩はそろそろカタがつくかな」
川端氏はつくづく優しい男だ。「忙」という文字は「心を亡くす」と書くだけあって、文字通り、忙しい人は豊かな心を喪失している状態にある。忙しい私もその例外ではなく、4か月もの長い間、川端氏の優しい催促に気づくことすらなかった。心を亡くしてしまった私に、川端氏の良心に気づけるはずもなかったのである。
「肩? 俺なんかには凝らせる肩もないよ。忙しいんだよ。寝る間も惜しんで仕事だ。いろんなプレッシャーがさ、この俺の肩にかかってるんだから。心が折れそうになるときもあるけど、それでもがんばるのがこの俺だ。そりゃ忙しいよ。つらいよ。でも、やるんだよ。それが仕事ってもんだ。がんばってる俺にご褒美でもくれよ」
私はもう、忙しい人にはなりたくないのだ。