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私たちWOOD HOUSE DESIGNは、
長野県上田市を中心に活動するちいさなデザイン集団です。
「人とモノ、人と人を繋げるデザインを」

第2回 T-バックの不条理

こう言うのもいきなりだが、私はT-バックについてほとんど何も知らない。知っているのは、お尻の溝に食い込む、あの独特の形状だけだといってもいい。おそらく、あの形状がTの形に似ていて、「お尻」つまり「バック」が「Tみたい」なことから、この名称がつけられたのだろう。しかしTにとってみれば、これは極めて迷惑な話だ。なぜなら、Tにとって屋台骨あるいは大黒柱ともいうべき縦線が、お尻の線にすっぽり当てがわれているからだ。一方、横線はといえば、ただ安穏と腰に巻きついているだけである。
こんな不条理が、あるだろうか。

 

しっかり地面に根を張って中空の横線を支えている縦線が、せめてものご褒美として、腰に巻きついて息抜きをしているなら、まだ話は分かる。ところがT-バックの実情は逆で、ただ重力のなすがままにだらんと腕を垂れ、頑張り屋の縦線に身をゆだねているだけの怠け者の横線が、腰という天国に巻きついてのうのうと縦線を見下ろしているのである。一方苦労人の縦線はというと、お尻の溝という地獄の境界線から一寸たりとも離れることを許されず、むしろ左右の肉塊から羽交い絞めにされ、なおかつ横線に見下ろされあざ笑われるという、それはもう、狭いわ暗いわ臭うわ歯がゆいわの多重苦に責められ続ける運命にあるのである。
こんな不条理が、あるだろうか。

 

なにも2回言うこともないくらいのことは私自身よく分かっているつもりだが、Tの横線の不徳と縦線の不憫を思うと、やはり何度でもこう言いたくなってしまうのだ。
こんな不条理が、あるだろうか。

 

T-COLUMNは、T-1ことウッドハウス代表の川端氏によって開始されたわけだが、第2回以降は、T-2ともいうべきこの私によって記されようとしている。川端氏と私のどちらが横線でどちらが縦線なのかは分からないが、以降、T-COLUMNは地獄の溝からかすかに聞こえる断末魔だと思って読んでいただきたい。
そして話をT-バックに戻そう。くり返すが、私はT-バックのことについてほとんど何も知らない。しかし、知らないからこそ記せることだってあるはずだ。第3回は、T-バックにまつわる根深い問題について、さらに考えていきたいと思っている。
なぜならこれは、T-COLUMNだからだ。

 

文章:ライター「T」

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