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私たちWOOD HOUSE DESIGNは、
長野県上田市を中心に活動するちいさなデザイン集団です。
「人とモノ、人と人を繋げるデザインを」

今期の猟果

狩猟期間終わる

正直申しまして、今期はとても苦しみました。
何しろ獲れない。獲物を見つけられない、見つけても逃げられる。
逃げられなくても、近づけない。撃っても当たらない。

山から帰ってきて、落ち込む日々が続きます。昨年は何も考えず、何となく忍び足で山に入ると、どこからともなく猪が近づいてきて、僕の前にお膳立てをしてくれました。しかし、今期は違います。色々と悩みました。自分の何が良くないのか、どこを修正すべきか。

山中に見つけた鳥の巣

一から学び直し

しかし、悩むにつれて、新しい喜びも発見できました。僕はSNSをいくつかやっていますが、その中で単独忍び猟をやっている人が多く集まり情報交換をしているコミュニティがあり、そのタイムラインを読んでいると、本当に新しい発見が多く、自分の何が足りなくて、獲れている人は何をしているのかがよく分かります。僕は一から学びなおそうと、単独猟と動物の生態について調べ直しました。偶然単独猟のエースの様な方と一緒に歩く機会もあり、その方の忍ぶスキルに驚愕、また、他人の忍び猟の雰囲気を味わう事ができたのも大きな収穫でした。

装備の見直し

正直に言うと、今まであまり銃にも機能的な猟装にも興味がなく、自分のやりたい格好で山に入っていましたが、それらの見直しも行いました。もちろん、譲れない部分もあり、ポンチョとブーツは残しましたが(笑)。その結果、山が格段に歩きやすくなり、遠くまで捜索出来るようになりました。その紹介はまた後日。

やっと出会えた日

二月に入り、何とか雉を一羽獲る事ができ、何となく自分の中で溜飲が下がりました。今期は大物は獲れなかったけど、それでもいいか、雉が獲れれば充分だろう、と。しかし、それでも僕は山に入るのを止められません。時間があれば鉄砲を担いで山に入ってしまいます。その日も朝から僕は山に入りました。今期何度も通った道を歩き、動物の足跡を探します。やけに風が強く、風の音に合わせて自分の足音を消します。目星をつけていた場所まで歩いて、双眼鏡を覗いていた時、僕の耳に大きな音が聞こえました。

♪♪♪

……出版社からの電話でした。アナログの極地の様な場所でとてもデジタル内容の打合せをし、電話を切りました。五分くらい話したでしょうか。

僕はその日は諦めて、帰路につきました、一応獲物の痕跡の多い場所を通りますが、最早忍びでも何でも無くガサガサと音を出して斜面を降ります。風がいちだんと強く吹いてきました。

帰り道にある猪のヌタ場に着いたところで、僕は不思議な違和感に包まれました。何かがいつもと違う。ただ、それを全く言語化出来ない。僕の足はピタリと止まり、再度忍び足を始めます。風が吹き、薮がガサガサと音を立てます。その中で風の揺れとは異なるタイミングのガサガサがある事に気付きました。

何かがいる、と意識した途端、足が震え出します。ここ三か月の記憶が頭の中に駆け巡ります。動揺をふり切るため、心の中で自分に叱咤します。いいか、俺。これが最後のチャンスだと思え。これを逃すと数ヶ月は無いぞ。ここからはひとつもミスをするな、音を立てるな、息も鎮めろ。そして、落ち着け。腹をくくれ。

自分への叱咤で不思議と心は静まり、足の震えも消えます。今期一番の歩きですこしずつ前へ進みます。

「ガサガサ」

目の前の薮を猪が横切りました。さっきまで音を出して歩いていたのに、不思議とこちらには全く気付いていません。エサを探して土を掘り返しています。僕はポーチからスラグ弾を取り出し、慎重に銃に弾を込めます。焦りも恐怖もありません。ただ撃つ、のみだと体が動きました。銃身を猪に向け、安全装置を外す。その瞬間、不意に我に戻りました。焦る。手が震える。しかし、後には引き返せません。引き金を引きます。

ダーーーーン!

撃つ瞬間、歯を食いしばり、眼をつぶってしまう自分がいました。情けない。とはいえ、弾は当たったようで、猪がひっくり返りました。安堵と罪悪感を感じ、色々なものに礼をして、猪を解体し、かついで足早に山を降りました。


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